C型慢性肝疾患におけるIrregular Regeneration不規則再生
肝細胞のIrregular Regeneration (IR)とは次の5つの要素から成り立つ。
1) anisocytosis :細胞の大小不同。高度なものがDysplasiaである。
2) pleomorphism :細胞質の不均一性。高度なものがOncocytic changeと呼ばれる。
3) bulging :再生肝細胞の拡張性の増殖で、周囲を圧排しているように見える
4) map-like distribution :それぞれが均一な肝細胞の集団が接しており境界が明瞭な状態
5) nodularity of hepatocytes :結節性肝細胞配置。高度なものは肝硬変の再生結節。
すなわち、正常の肝細胞は大きさ、外観が均一であるのに対し肝細胞の破壊と再生が持続するC型慢性肝疾患(B型でも)では正常肝細胞と異なる大きさ、外観、配置を示す肝細胞集団が認められる。Disorganized distribution of hepatocellular regeneration irrespective of the lobular architectureともいえる。
従来ウイルス肝炎を中心とする肝組織像の解析は1)炎症、2)肝細胞壊死、3)線維化の観点から行われてきており、肝細胞の破壊に引き続き起きる肝細胞再生については考慮されてこなかった。IRは肝細胞再生に着目したものと考えられる。IRの概念は内田俊和先生 Dr Toshikazu Uchida, MD(日本大学病理学教室)らによって強調され、そのHCCとの関連が提唱されている。
Uchida T. Small hepatocellular carcinoma: Its relationship to multistep hepatocarcinogenesis. Pathol Int 1995; 45: 175-184.
特にIRの程度とHCC発生との関連が最近注目を集めている。われわれのグループがHCV+慢性肝炎、肝硬変でIRによってHCCの発生が規定されていることを明らかにした論文をThe Lancetに発表した。Shibata M, Morizane T, Uchida T, Yamagami T, Onozuka Y, Nakano M, Mitamura K, Ueno Y: Irregular regeneration of hepatocytes and risk of hepatocellular carcinoma in chronic hepatitis and cirrhosis with hepatitis-C-virus infection. Lancet 1998 Jun 13;351(9118):1773-1777. (Abstract)Irregular RegenerationはHCV+の慢性肝疾患におけるHCC発生に対して、従来いわれているLiver Cell Dysplasia (LCD)や血小板数などよりはるかに強い因子であり、IRを判定することによりHCCの高リスク患者を見つけることが可能になる。臨床的に非常に重要な意味があると思う。
さてIRのGradeはどのようにして判定したら良いのか。内田先生に直接教えてもらうのが一番だが、Anisocytosis, Pleomorphism, Bulging, Map-like distributionが肝細胞全体の面積の内占める割合が50%を超えればSevere、25−50%はIntermediate、25%未満はSlight、まったくなければNoneと分類するそうだ。したがって、Nodularityはカウントしない。つまり、CHとLCを同じ基準で判定することができる。また、Map-like distributionでもし片方が正常の肝細胞の場合にはそちらは面積にカウントしない。もちろんIRの程度はCHよりLCの方が強い。
Examples:
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