Imaging of the hepatobiliary tract
Saini S
New E J Med 1997;336:1889-1894.
ごく簡単なまとめですがこの総説で述べられている各病態に対する各画像診断法モダリティーの感度をまずまとめてみました。1997.7.21
病態 診断法 感度 胆嚢結石 US >95% 総胆管結石 US 総胆管拡張がある場合75% 総胆管拡張のない場合50% CT スキャン 75% MRI 胆道造影 (>90%) 肝転移 US 全体として85%(個々の腫瘍に対しては1/3、特に2cm以下は検出されない) CT スキャン 全体として85%(個々の腫瘍に対しては1/3は、特に2cm以下は検出されない) Helical CTは感度はより高いが小さな腫瘍に対する感度は60%以下
術中超音波検査 個々の腫瘍に対して85% CT during arterial portography 個々の腫瘍に対して85% MRI 全体として85%、個々の腫瘍に75% 肝血管腫 US、造影CT 高い MRI >90% Focal Nodular Hyperplasia (FNH) MRI 非常に高い Focal Fatty Infiltration MRI 高い 肝細胞癌 US 進行LCの背景がある場合50% Arterial-phase MRI ? Helical CT ? MRI ?再生結節、LCD、HCCの鑑別に使われる
最近の技術進歩
- Helical (or spiral) CT scanningはもっとも重要な進歩である。3D画像が得られるだけでなく肝臓部のスキャンを30秒程で終了するのでより精度の高い画像が得られる。IV Contrast Materialの投与により(CT angiography)血管系の3D画像を非侵襲的に得られる。
- Color-flow Doppler Ultrasonographyは血管の機能性、血流の方向、組織の血液潅流を評価できる。
右季肋部痛
- USがもっとも有用である。胆嚢結石に対しては95%以上の感度。
- 胆石、胆嚢壁の肥厚、Sonographic Murphy's Sign(胆嚢上の圧痛)は急性胆嚢炎との相関が高い。
- 胆嚢壁の肥厚は非特異的である:胆嚢炎、肝炎、腹水、アデノミオマトーシス、胆嚢癌、胆嚢症のあるAIDSで認められる。
- 胆嚢管Cystic Duct結石はエコーでは検出が困難なので臨床症状とエコーの所見が一致しない場合には肝胆道シンチグラフィーが役立つかもしれない。
- 総胆管結石に対してはUSもCTも感度が低いので(上記参照)直接胆道造影(経肝あるいは内視鏡的逆行性)がしばしば用いられる。これらは治療法としても(stone extraction, papillotomy)使われる。最近はMRI Cholangiographyが感度が高いことが知られてきた。T2-weighted imageで胆嚢、胆管が見える。
閉塞性黄疸
- USとCTをまず施行する。CTは肝、胆道、膵、門脈、後腹膜リンパ節、血管を総括的に観察できるのでより有用といえる。
肝転移の検出
- Contrast-enhanced CTが癌の既往のある患者の肝の評価の第一選択である。ヨード性造影剤の投与量、投与速度、撮影のタイミングが重要である。
- US、CTの感度は85%であるが、個々の腫瘍についてみると全腫瘍の3分の1は見逃される。
- CT during arterial portography(上腸間膜動脈、あるいは脾動脈から造影剤を投与し門脈を造影しながらCTスキャンを行う)を術前に行う。あるいは術中USにより個々の腫瘍の85%の検出が可能。これによりStaging(数と位置の同定)ができる。
- 脂肪肝があるとCTとUSの感度は低下するのでMRIが有用。MRIはContrast Enhancementなしで全体として感度85%、個々の腫瘍に対して感度75%である。
偶然発見される腫瘍性病変
- 成人の約20%は良性の腫瘍性病変を持っている。
- まずUS、Contrast−enhanced CTで主要な肝占拠性病変の診断が可能である:特にCyst、転移、血管腫。フォローアップによって良性・悪性の診断がつけられることが多い。
- これらの所見が非典型的であったり、臨床所見と一致しない場合にはMRIが必要となる。MRIは血管腫の90%、Focal Nodular Hyperplasia (FNH)の大部分を診断することができる。特にUSあるいはCTでSOLとして捉えられるFocal Fatty InfiltrationはMRIでの同定が容易である。
- 個々の病変に対して有効な診断法:
- 血管腫− Technetium-labeled red-cellを用いるシンチグラム
- FNH, Liver-cell Adenoma− 肝シンチ
- FNH− Technetium-labeled sulfur colloid examination
- Image-guided fine-needle aspiration or biopsy: Vascular Lesionであっても安全であり、上記特異的診断法の代わりとなりうる。
- 1cm以下の病変は診断が困難なこと多いが、その場合フォローアップが必要。
肝硬変
- 尾状葉の肥大、結節状の肝表面は横断面を見ることができるUS、CT、MRIで捉えることができるがこれらの所見は進行したLCでないと認められないのでLCの診断において重要性は低い。しかしLCの合併症である血管系の評価、肝細胞癌の診断には有用である。
- Viral HepatitisやHemochromatosisなどのHCCのリスクが高い疾患では定期的な画像診断のフォローアップが必要である。
- 進行LCにおけるUSの腫瘍の検出感度は50%と低いが、外科手術の対象となる成長の遅い高分化型HCCの診断のためにUSを定期的に繰り返すことは適切とされている。
- AFP高値などでHCCが強く疑われる場合にはArterial-pahse MRIまたはHelical CT Scanが行われる。(造影剤注入後25から45秒で腫瘍部が増強される、70から90秒ではバックグラウンドが増強される。)
- 腫瘍がスクリーニングで検出されたら、再生結節、Dysplastic Nodule、HCCの鑑別にはMRIが役立つ。
外傷
- 速やかな骨盤腔を含む腹部全体のスキャンが必要なのでContrast-enhanced CTが第一選択である。USも肝および肝周辺の診断には同じく有用である。
感染
- 肝膿瘍(bacterial or parasitic)にはUS、CTともに有用であるが、CTの方がより適している。ガス、石灰化、小膿瘍にはCTの方が有利。鑑別診断が困難な場合にはImage-guided biopsy or aspirationを行う。
肝移植後の評価
- US、CTともに使われる。USは肝動脈、門脈の評価に、CTは肝膿瘍の検出に有効。
肝炎
- 急性肝炎では画像診断が必要な場合はあまりない。画像がまったく正常のことも多い。
鉄過剰
- MRIが有効。Hemochromatosis: 肝実質細胞の鉄過剰とHemosiderosis: 細網内皮系の鑑別が可能。肝貯蔵鉄の定量が可能。
血管病変
- Color-flow Doppler Ultrasonographyは肝血管系の存在と血流を診断するのに有効。
- Contrast-enhanced CTも同様の情報を提供できるが信頼性はより低い。
- Fatty LiverでUSが難しいときはMRIで血管系の画像を得られるし、血流の方向も分かる。