新しいPubMed

PubMedは医学文献データベースであるMEDLINEの検索を行うことができる米国のNational Library of Medicine (NLM)が提供しているインターネット上に公開されているサービスであるが、最近ヒトゲノム計画の急速な進展に伴い、医学文献以外のデータベースと統合化が図られつつある。NLMと米国National Institutes of Heatlh (NIH)その他のデータベースを一つにして米国National Center for Biotechnology Information (NCBI)として、さまざまなデータベースの検索のみならず相互のリンクを提供する巨大なデータベース・サービスに進化している。

最近PubMedのホームページが改定され,New PubMed Systemとしてより利便性が高くなった。従来のPubMedはにOld PubMedとして残されているが,いずれNew PubMedに全面的に移行する予定のようである。

これが新しいPubMedのページである。なお,左のメニューの中にOld PubMedがあり,ここをクリックすると従来のPubMedのページが開かれる。

この画面でMEDLINEを検索するのであれば、従来と同じように検索することができる。タグの使用法やAND、OR、NOTなどの使用法も従来どおりで、検索語をフィールドに書き込んでGoボタンを押せばよい。この画面でわかるように、PubMed以外にNucleotide、Protein、Genome、Structure、PopSetデータベースをSearch横のポップアップメニューから選択して、同じように検索をすることができるようになっている。あらかじめ、それぞれのデータベースに移動してから検索することもできるが、その場合には入力フィールドの上にある各項目をクリックして画面を移動してから行う。

タグを用いる検索

タグを用いる場合のポイントは、1)タグはタグで指定する語句のすぐ後ろに書くこと,なおスペースはあってもなくてもどちらでも良い,2)ORを使う場合は,ORで結んだ語句全体をカッコ( )で囲むこと、3)カッコで囲んだ語句と他の検索語はANDで結ぶこと、である。一般的にはタグによる指定は最初の方に記述し,それ以外の一般的な検索語は後ろの方に記述するようにするとよい。また、検索結果が自分の意図したこととは違うような場合には,検索結果の画面で,Detailsボタンをクリックして中身を見て確認することが必要である。

ジャーナルを指定して検索したい場合:ジャーナルを指定して検索する場合にはtitle abbreviationの略である[ta]のタグを使う。例えばNew England Journal of Medicineに掲載されたhepatitis cに関する論文を調べるとする。

例:n engl j med [ta] hepatitis c

hepatitis cの部分はダブルコーテーションマーク" "で囲まなくても,automatic term mappingが働いて,hepatitis AND cではなく"hepatitis c"として検索が行われる。

ジャーナル名は上記の例のように略語を使うことも出来るし、フルスペルで指定することも出来る。

複数のジャーナルを指定したい場合:同じ分野でも非常に多くのジャーナルが出版されているのでキーになるジャーナルだけで文献をフォローしたい場合などには複数のジャーナル名をORで結んで指定することが出来る。

例:(n engl j med [ta] OR lancet [ta] OR j clin invest [ta]) AND hepatitis c
 
 

特定の著者の論文を検索する:たとえば利根川進氏の論文を検索したいとする。この場合のタグは[au]である。もちろんAuthorの略である。

例:tonegawa s [au]

同姓同名の人がいた場合にはそれもヒットするので、その場合には中身を見ないと目的とする文献かどうかは分からない。また、ミドルネームがあるような場合にはdelaney jr [au]のように記述する。姓しか分からない場合でも検索できるがもちろん同姓の人の論文が全部ヒットしてしまう。

論文の引用文献を検索したい場合:この場合には著者名とジャーナル名と出版年度の三つを組み合わせればまず目的の文献にヒットするはずである。著者名を複数組み合わせても良い。出版年度を指定するタグは[dp]である。Date of publicationの略である。

例:shibata [au] morizane [au] lancet [ta] 1998 [dp]

日付をより細かく指定して検索したい場合:[dp]はもっと細かく指定することが出来る。例えば1996年に出版された論文だけを探したい場合。

例:tonegawa s [au] 1996 [dp]

1995年から1997年に出版された論文を探したい場合。コロンで最初と最後を区切る。この場合にもEntrezDate LimitはNo limitを選択しておかなければならない。

例:1995:1997 [dp] tonegawa s [au]

1997年6月から今日までの論文を探したい場合。スラッシュ”/”で年、月を区切る。なお、日まで指定することも出来る。例えば、1996/6/1から1998/12/31までの文献であれば次の様に指定する。

例:1997/6/1: 1998/12/31 [dp] tonegawa s [au]

アスタリスク*の使い方:たとえばpredictiveとpredictionの両方を検索したい場合にはORで結んで検索することも出来るが、次のような記述でもOKである。

例:predict*

この場合にはpredictまでが同じでその後ろに続く部分がどのような語も検索の対象になる。いわゆるワイルド・カードと同じである。

言語を指定した検索:言語を指定するには[la]のタグを用いる。

例:english[la] AND hepaitis c AND interferon

Publication Typeの指定:臨床試験だけを引き出したい場合にはどうするか。[pt]タグを用いると,Publication Typeを指定することが出来るので、clinical trialと書いた後ろに続けて[pt]と書いておくと臨床試験の論文だけを引き出すことが出来る。

例:  english[la] AND clinical trial[pt] AND hepatitis c AND interferon

なお,タグと検索語の間にはスペースを入れても入れなくてもどちらでも良い。また,Publication Typeはrandomized controlled trial, reviewなどを指定することもできる。特にまずは総説を調べて,必要に応じて原著にあたるというやりかたも時間があまり無いときには便利であるが,その場合,review[pt]をANDで組み合わせて使えばよい。

PMIDとUIとは:PubMedで文献検索を行うとヒットした論文の表示のなかにPMIDとUIという数字がある。じつはPubMed indentifierとUnique identifierのことでこの数字を検索語の欄に入力してSearchすると一発でその論文が出てくる。
 

制限つきの検索

さて、New PubMed SystemによるMEDLINE検索はすでに述べたように従来と同じ方法でもできるが、検索語を記入するフィールドのすぐ下にあるLimitsをクリックすると現れる次の画面を利用すると

検索語を入力する部分は同じであるが、それに制限を加えて、たとえばどのフィールドを対象にするか、

Publication Typeをどれにするか、

言語をどれにするか、

年齢を指定するか、

Human StudyかAnimal Studyか、FemaleかMaleか、さらに過去どの期間までにするか、

あるいは、Publication Dateを指定するか、などを設定した上で検索することができる。

また、MEDLINEのサブセット・データベースを指定することもできる。


 

検索結果

検索結果はデフォルトでは20件の文献がリストアップされて,表示され,それ以上の場合には複数のページに分割される。Show:のフィールドで1ページに表示される文献数を増やすこともできる。たとえば100個の文献がヒットした場合にShow:を100に設定して,再度Goボタンをクリックすれば,全文献が一つのページに表示される。下にその1例を示す。

こで,Displayボタンの右のフィールドの右にある三角のボタンをクリックして,ポップアップメニューからMEDLINEを選択して,Saveボタンをクリックするとファイルダウンロードの画面が出るので,このファイルをディスクに保存するを選択してOKボタンをクリックする。

次にファイル名を付けて保存する画面が出るので,ファイル名をxxxx.txtというようにして,保存ボタンをクリックして,適当なフォルダーに保存する。ファイルの種類は.fcgiドキュメントと表示されるが、Windowsの場合、拡張子として.txtをつけるようにする。

この操作は通常のファイル保存の場合と同じである。すると,ファイルがダウンロードされて保存されるので,後でこのファイルをEndNote Plusで取り込んで利用することができる。ダウンロードされるファイルはテキストファイルなので,エディターやワープロソフトで開いて読んだり印刷したりすることもできる。EndNote Plusへの取り込み法はすでに紹介してあるのでそちらを参照されたい。

Displayではいくつかの表示形式を選択することができる。印刷して読むつもりであれば,AbstractあるいはCitation形式の方が適している。

また,表示形式を選択した後,Saveボタンではなく,Displayボタンをクリックするとファイルとしてダウンロードするのではなく,ブラウザー上で表示させて読むことができる。この場合にはAbstractあるいはCitation形式がよい。さらに,Displayボタンで表示させた後で,Saveボタンをクリックしてダウンロードすることもできる。

検索後,文献リストが表示された画面で,各文献の番号の左にあるチェックボックスをクリックしてチェックを入れてから,上記のSaveあるいはDisplayの操作を行うと,チェックを入れた文献のみが選択される。したがって,常時接続された環境で時間が十分あるのであれば,ブラウザーの画面を見ながら,必要な文献だけを選択してから,ダウンロードしたり表示したりすることもできる。

Clipboardの利用

Add to Clipboardというボタンを使うと、たとえばいろいろな検索語で検索した結果をClipboardに追加して、ためておくことができる。また、1ページに20個ずつ表示して、必要な文献だけ左側にあるチェックボックスにチェックを入れて選択し、Add to ClipboardボタンをクリックしてClipboardに入れておいて、次のページに移動して(一番下の右の方に表示されるページ番号をクリックすると移動できる)、同様の操作をして、最後にすべてまとめてダウンロードすることができる。チェックボックスにチェックを入れた場合には、その選択した文献だけが、Clipboardに入り、Add to Clipboardボタンをクリックした後には選択された文献のチェックボックスの色が変わるので、どれをClipboardに入れたのかが分かるようになっている。また、チェックボックスを一つも選択していない状態ではデフォルトで全部選択されたとみなされてすべての文献がClipboardに入る。

また、Historyという部分をクリックすると自分が行った検索の履歴を見ることができるようになっている。その並びにあるClipboardをクリックするとClipboardにためられた内容を見ることができる。ClipboardもHistoryも途中でクリアしてやり直しができる。それぞれの画面にあるClearボタンをクリックすればよい。

さて、実際に試してみよう。まず、hapatitis b AND hepatology[ta] AND 1999/10:1999/12[dp]と書き込んでGoボタンをクリックすると、Hepatologyという雑誌の1999年10月から12月までに掲載されたhepatitis Bに関する文献のリストがえられる。

ここで、Add to Clipboardボタンをクリックするとここにリストアップされた5個の文献がClipboardに追加保存される。もし、チェックボックスをクリックしてチェックを入れると、選択された文献だけが、Clipboardに入る。Clipboardは最大で500個の文献まで保存できる。

次に、hapatitis c AND hepatology[ta] AND 1999/10:1999/12[dp]として検索をすると、14個の文献がリストアップされた。

ここで、Add to Clipboardボタンをクリックしてすべての文献をClipboardに追加する。

この場合には先ほどhepatitis bでの検索結果と1個の重複があったため、それは自動的に除かれて、14個のうち13個がClipboardに追加された。ここでClipboardの内容を見るため、Goボタンの下にあるClipboardと書いてあるところをクリックすると18個の文献がリストアップされているのが確認できる。Clipboardを開いて見ている状態では、Clipboardのタグの背景が白くなるのでわかる。

ここで、検索の履歴を検索語記入のフィールドの下にあるHistoryをクリックして見てみよう。

検索に用いた語と時間と結果が表示される。
 

それでは、もう一度Clipboardを表示して、Clipboardにためられた検索結果をTextボタンをクリックしてTextとして表示させてみよう。

これを選択してワープロに貼り付けることもできる。

また、Saveボタンをクリックするとテキストファイルとしてダウンロードすることができる。

さて、EndNote Plusで取り込むために、Clipboardを表示した状態で、Displayボタンの右の表示形式をMEDLINEに変えて、Saveボタンをクリックすると選択された形式で,ダウンロードすることができる。また,Displayボタンをクリックして,いったん表示させてからダウンロードすることもできる。たとえば,下の例でDisplayボタンをクリックすると,それぞれの文献がAbstractその他の情報とともに一覧表示される。

そこで、Saveボタンをクリックする。Saveボタンは一番下にも一番上にも表示される。文献の読み込みが終わって、表示が終了したら、いずれのSaveボタンをクリックしてもダウンロードして保存することができる。

この画面でOKボタンをクリックするとファイル名をつける画面になるので、適当にファイル名をつけて、保存する。ファイルの種類は.fcgiドキュメントと表示されるが、Windowsの場合、拡張子として.txtをつけるようにする。
 

臨床医学文献の検索Clinical Queries

PubMedの画面で左のメニューにあるClinical Queriesをクリックすると下のページが表示される。Clinical Queriesは臨床に関する文献のみを対象に検索が行われる。Haynes RB, Wilczynski N, McKibbon KA, Walker CJ, Sinclair JC: Developing optimal search strategies for detecting clinically sound studies in MEDLINE. J Am Med Inform Assoc. 1994;1:447-58.PMID: 7850570; UI: 95153434の論文に基づいたフィルターを用いて,therapy, diagnosis, etiology, prognosisに関する文献を検索することができる。

sensitivityにチェックを入れると,できるだけブロードに漏れを少なくするように,specificityにチェックを入れるとできるだけ幅を狭めて特異的に,検索が行われる。検索語句をフィールドに書き込んでSearchボタンをクリックする。

すでに述べたタグの使用はClincal Queriesでも同じように可能である。たとえばtherapyを選択して,english [la] AND 2000 [dp] AND hepatitis cを検索すると2000年に発表された(正確にはMEDLINEに収載された)C型肝炎の治療に関する英語の論文がリストアップされる。

また,検索後の取り扱いも上記の場合と同じである。これは,臨床医にとっては非常に便利な検索画面である。
 

Single Citation Matcher

PubMedのメインページで左にあるメニューからSingle Citation Matcherをクリックすると下のページが現れる。このページは論文や本を読んでいて,引用されている文献のAbstractを読みたい場合に便利である。もちろん,通常のPubMedの検索画面でも同じことはできるが,Single Citation MatcherはJournal, Date, Volume, Issue, First page, 著者名を別々のフィールドに入力するようになっている。これらの情報から,しかも断片的な情報から文献を探し出すことができる。これらのフィールドは全部入力する必要は無い。たとえば,雑誌名と著者の一人の名前が分かっていて,年度も分かっているのであれば,それだけでも検索することができる。たとえば,Journal: j am med inform assoc, Date: 1994, Author's last name and initials (e.g. Smith BJ): walker cjで検索すると,上記の文献ともう一つの同じ著者名を含む文献の2件がヒットした。

この画面は文献の一部の情報しか分からないような場合にも用いることができる。また,Date:は、たとえば,2000/1/1:2000/5/31のように範囲で指定することもできる。
 

2000.5.17
神奈川歯科大学
内科教授
森實敏夫