第1回: 活性酸素・フリーラジカルってなに?
(a)活性酸素とは?
活性酸素(reactive oxygen species:ROS)とは、普通の酸素分子(O2)よりも活性化された状態の酸素分子とその関連物質を指します。
もともと、酸素原子(O)には電子が8ケあるが、最外殻軌道(L殻)を6ケの電子が存在している酸素原子は、K殻の1S軌道に2ケ、L殻の2s軌道に2ケ、2p軌道に4ケの電子を有している。
L殻の6ケの電子の内、4ケは、結合性の2つの軌道(πχ、πy)に、スピンが対(1/2、−1/2)になって存在し、残りの2ケは、同じスピンの向き(1/2)のため、不対電子となり、反結合性の2つの軌道(πχ*、πy*)に入っている。
酸素分子では、酸素原子2ケに存在した計4ケの不対電子の内、酸素原子の共有結合に際して、2ケの不対電子は対をなすが、残りの2ケは不対電子のままである。
このように、酸素原子は、ビラジカル(・O-O・)だが、活性酸素ほど、反応性は強くない。
そのため、酸素分子の全スピン量子数は1となる。
通常の酸素分子は、「三重項」の状態であり、「三重項酸素」と呼ばれる。
活性酸素分子種としては、
1.ラジカル種:スーパーオキシド(・O2-)、ヒドロキシルラジカル(HO・)、ヒドロペルオキシルラジカル(HOO・)、アルコキシルラジカル(LO・)、アルキルペルオキシルラジカル(LOO・)、一酸化窒素(NO)
2.非ラジカル種:過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)、ペルオキシナイトライト(ONOO-)、脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)、次亜塩素酸(HOCl)、オゾン(O3)、などがある。
このうち、スーパーオキシド(・O2-)、ヒドロキシルラジカル(HO・)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)は、狭義の活性酸素と呼ばれる。
活性酸素は、ミトコンドリアでのエネルギー代謝、炎症時の白血球、アラキドン酸代謝、心筋梗塞の虚血-再灌流、紫外線、タバコ、抗癌剤、除草剤、ストレス、などで生成される。
酸化とは、酸素と結合するか、電子を失う化学反応のこと。
活性酸素のうち、スーパーオキシドとヒドロキシルラジカルは、1個の不対電子を有しており、フリーラジカルとして、他の分子から電子を奪って、酸化させる。
(b)フリーラジカルとは?
不対電子を持つ物質の総称としてフリーラジカルと呼ぶこともあるが、フリーラジカルと遷移金属があり区別することが多くなります。
生体関連の分野では、一つあるいはそれ以上の不対電子をもつ原子または分子をフリーラジカルと定義しています。
代表的なフリ−ラジカルに、大気中に21%も含まれ生命活動に不可欠な酸素分子がありますが、最近話題になっているス−パ−オキシドアニオンラジカル(O2-・)やヒドロキシルラジカル(・OH)、脂質(LH)の酸化過程で生じるパ−オキシラジカル(LOO・)、アルコキシラジカル(LO・)なども同じです。
また、Fe3+、Cu2+、Cr3+、Cr5+、V2+、V4+、Mn2+、Mn4+、Ti3+、Co2+、などの遷移金属イオンも、 電子軌道内のd軌道に一つ以上の不対電子を持つことからフリ−ラジカルに分類されます。
生体中には活性酸素種の他に、遷移金属イオンを含む化合物が数多く存在し、 スーパーオキシドディスムターゼ(Cu2+/Zn-SOD、Mn-SOD、Fe-SOD)、セルロプラスミン(Cu2+)、トランスフェリン(Fe3+)、カタラーゼ(Fe3+)、チトクロームC(Fe3+)、シトクロ−ムb5(Fe3+)、ミエロペルオキシダーゼ(Fe3+)、メトヘモグロビン(Fe3+)、ミオグロビン(Fe3+)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Fe3+)、などがあります。