X線管の原理を理解し,管電圧・管電流と発生するX線との関係を知る。また物質の種類により吸収の仕方が異なることを理解する。
管電圧・管電流を変化させて,種々の試科のX線写真を撮影し,撮影像と管電圧・管電流および物質の種類の関係を調べる。
3-1 X線の発生
X線発生管の略図を第1図に示す。第1図において,Aは陰極,Bは陽極で,ターゲットとも対陰極とも呼び,X線を発生する場所として焦点ともいう。陰極を加熱すると,多量の電子を出す。(このように,導体または半導体を高温に熱したとき出る電子を熱電子と言う。)この電子を両極間の高電圧によって加速し,陽極に衝突させると,電子は陽極物質の原子との相互作用により急速に滅速されたり,方向変化されたりする。この際失ったエネルギーの一部を電磁波として放射する。このような放射を制動放射と呼ぷ。

図1 X線管の構造図
このとき,個々の電子の持っていた運動エネルギーは熱エネルギーと光子(電磁波)のエネルギーとになるが,その割合はそれぞれの電子の衝突の仕方によって異なる。従って,陽極から放射される電磁渡には様々な振動数のものが含まれ,連続スペクトルとなる。この電磁渡を連続X線という。このX線(光子)のもつエネルギーhνは電子の運動エネルギーeVより大きくならないから,最大の振動数をνmaxとすると,
hνmax=eV (1)
となる。従って,最短波長λminは,
λmin=1.24/V (2)
で与えられる。ただし,電圧VをkV,渡長λをnmであらわす。さて,多量の電子が陽極に衝突するとき,全体の電子の運動エネルギーの大部分は熱エネルギーになる。X線のエネルギーに転換する効率εは実験的には次の式で表される。
ε=1.1×10−9×Z×V (3)
こでZは陽極の原子番号である。個々の電子の持つエネルギーは管電圧に比例し,電子の数は管電流iに比例するから,X線の強度Iは,
I=i×V×ε×const (4)
となる。ここに(3)式を代入すると
∴I=i×V2×Z×const (4)
が得られる。管電圧とX線の相対強度の関係を第2図に示す。

図2.種々の管電圧におけるX線スペクトル
3-2 X線の吸収
X線を物質に照射すると吸収される。このとき渡長の短い(0.001〜0.1nm)X線(硬X線)は透過性が強く,逆に波長の長い(0.1〜10nm)もの(軟X線)は吸収されやすい。また物質が厚いほどX線の吸収は大きい。すなわち,入射強度I0のX線が吸収係数μ,厚さxの物質を透過したときの強度Iは
I=I0e-μx
となる。吸収係数は物質の原子番号zの大きいものほど,また密度ρの大きいものほど大きく,つぎのような式で表わされる。
μ∝λ3z3ρ
ここでλはX線の波長である。したがって,同じ波長のX線を同じ厚さの物質に照射しても,その物質の原子番号や密度によって透過率が異なることになる。
3-3 X線の検出
X線は目に見えないので,発生したX線や透過したX線を直接観測することはできない。また人体に照射するのは有害でもある。そこでX線を検出するために,蛍光板や写真フィルムなどを用いる。例えばX線には可視光と同様に感光作用があるので,フィルムに照射して感光の度合いから,X線の強度を見積もることが出来る。
●ムーミン族の部屋(http://www.ceres.dti.ne.jp/‾moomin/)
人体や電卓などの身の回りのもののX線写真の紹介があります。
●千葉大学医学部附属診療放射線技師学校 のX線の解説(http://www.mts.chiba-u.ac.jp/doc/xraytube.html)
簡単なX線の解説があります。歴史や撮影法なども紹介されています。
実験開始前までに各自必ず予習レポートを記して下さい。