5. GM計数管

 

◆もくじ

  1. 目的
  2. 実験課題
  3. 原理
  4. 実験方法

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1.目的

GM計数管の持性を理解するとともに、放射線、特にβ線についての基礎知識を得る。

 

2.実験課題

(1)タリウム(Tl)の崩壊によって出てくるβ線の計数率と、測定器の幾何学的効率等により、試料のもつ放射能を求める。

(2)アルミニウム吸収板の厚さと透過β線の数の関係を調べる。

(3)1週間後の放射能の値を推定する。

 

3.原理

 

1.GM計数管の構造と動作原理

GM計数管は、第1図に示すように、円筒形陰極とその中心軸に沿ってはられた細い陽極からできている。管の中にはアルゴンのような不活性ガスと、エチルアルコールなどの有機多原子気体が、約10:1の割合で10mmHg程度の気圧に封入されている。そして、一端は雲母の薄膜でできていて、ここからβ線が入射する。高エネルギーの荷電粒子が計数管のガス中を通るとその分子と衝突によって電離を行い、飛跡にそってイオン対を残す。生じたイオンは、強い電場の中におかれているために、陽イオンは陰極に、陰イオン(電子)は陽極に向かって動く。とくに電子は非常にすみやかに移動し、陽極の近くの強い電場でより強く加速され、大きなエネルギーをもつようになる。すると、他の分子に衝突してまた電離する。新しく生じた電子はさらにイオン対を作る。このようにネズミ算式に多数の電子を作ることになる(第2図)。この現象は電子ナダレと呼ばれ、またこのような方式で行われる電離電流の増幅はガス増幅と呼ばれる。このように1個の荷電粒子が通ったことによって作られる比較的少数のイオンが、ガス増幅により著しく増大され、陽極から大きな電離電流としてとりだされるので、これを計数回路によって電圧パルスとして増幅し,1個1個の粒子の検出を行うことができる。そしてガス増幅度が大きくなり、電子ナダレが光電子放出を通して全体に拡がるGM計数頒域では、荷電粒子により最初に作られるイオン対の数とは無関係に一定の大きさのパルスが得られる。この電圧領域をガイガー域と言い、ここで働く計数管をガイガーミュラー計数管またはGM計数管と呼ぶ。管の大きさ、電圧にもよるが、電流パルスの尖頭値は10−7一10-5Aに達する。

図1 GM計数管

図2 電子なだれ

注:GM計数管に不活性ガスだけを封入した場合には、荷電粒子の通過によっていったんひきおこされた放電はそのまま止まらない。封入ガスにはこの放電を止める目的で、有機分子気体が混ぜられている。このようなガスは消滅ガスといわれる。ガスはこの作用をするたぴにわずかずつ解離してゆくので、計数管には全体として計数できる限度(計数寿命)がある。普通は108−1010個である。

 

〔計数率〕:数えた放射線の数を、計数という。そして、単位時間当りのの計数のことを計数率とよぶ。計数率の単位は、c.p.m(count per minute),c.p.s.(count per second)が用いられる。

 

 

 

2.線源

線源としては、タリウム(204Tl)を用いる。これは図3のような構造の容器に密封されており、直接見ることはできない。また半滅期は3.8年である。

 

図3 線源の構造

 

3.放射能

物質が自発的に放射線をだす性質を放射能という。放射能の量は単位時間に崩壊する粒子数であらわされ、単位としてはBq(ベクレル)が用いられる。1Bqは1秒問にl個崩壊する量である。また1kBq=103Bqである。放射能を測定するには、崩壊にともなって放出される放射線の単位時間当りの数をしらべればよい。そのためには、GM管で測定した値を、計数効率・自然計数・吸収について補正しなければならない。(図)

また放射線を出すということは放射性元素が崩壊しているのだから,放射能は自然に減少していく。放射能が半分になる時間を半減期といい,元素の種類によって異なっている。半減期がτの放射性物質が時間tたったときの放射能Dは,最初の放射能D0をとすると

D=D02-t/τ

で与えられる。

 

 

〔計数効率〕:スタンドの配置は第4図のようになっている。試科からでるβ線は方向によらず球対称になって全空間に放出されている。しかし実際に計数されるβ線は窓の部分のみである。幾何学的効率は線源(点とみる)が計数管の前面においた絞り窓に対して張る立体角Ωと4π(全立体角)との比で表わされる。図のようにr,h,θを定めると、Ω=2π(1−cosθ)であるから,計数効率Gは

であたえられる。

図4 線源とGM管の位置関係

 

〔自然計数〕:宇宙線およぴ、空気中や計器材料等にぷくまれる放射性物質からの放射線など、試料以外による計数を自然計数(バックグラウンド)という。自然計数の量をしらべるには、試料をいれずに測定すればよい。そして、試料による計数率を知るには、測定値から自然計数の計数率をひけばよい。

〔吸収〕:試料とGM管内部のあいだには、空気と計数管窓がある。β線の一部はここで吸収されてしまう。試料から放出されるβ線の数をしりたいのだから、補正する必要がある。補正のしかたは、あとでのべる。

4.β線の物賞による吸収

β線は物質と相互作用することによって、散乱しエネルギーをうしなう。したがってβ線の行路に物質層があると、通過するβ線の数は、層の厚さにともなって滅少する。通過するβ線の数がゼロになる厚さを最大飛程という。

〔吸収層の補正〕

実験では、吸収層の厚さをゼロにすることはできない。そこで吸収層の厚さと計数率のグラフから、厚さゼロの点を外捕してみつもる。(第5図参照)GM管の窓厚をd(mg/cm2)、線源の窓厚をD(mg/cm2)、線源と窓の距離をh(cm)とすれば、補正すべき吸収層の厚さは、d+D+1.2h(mg/cm2)である。したがって実際の吸収層の厚さは、アルミ吸収板の厚さをt(mg/cm2)とするとt+d+D+1.2h(mg/cm2)である。

図5 β線の吸収曲線 

使用器具

計数装置,GM管を取りつけた試料測定台,アルミ吸収板,放射線源。

〔線源の取り扱い〕線源をおおっている窓は薄いので、ここは手でふれてはならない。またケースにしまうときは、この部分を下に向けるようにする。なお、放射性同位元素を扱ったあとでは必ず手をあらう習慣をつけること。


実験開始前までに各自必ず予習レポートを記して下さい。

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