一般に温度によって物体の体積は変化する。気体の場合,固体や液体と違って,温度に対する膨張の割合は種類によらないため普遍性があり,絶対温度の基礎となる。この気体の熱膨張および絶対温度について理解する。
(1) 圧力が一定のときの,空気の温度と体積の関係を調べる。
(2) 空気の温度と体積の関係から絶対零度を求める。
(1) 理想気体
温度が一定のとき,一定質量の気体の体積Vは,圧力pに反比例する。すなわち,
pV =一定 (1)
となる。これをボイルの法則という。気体の圧力というものは,気体分子が壁面に衝突することによって生じる。気体全体の体積に比べて分子の体積が十分小さく,また分子同士が離れていて相互作用が無視できるばあい,気体の体積が半分になると,第1図に示したように,分子の衝突回数は2倍になる。すなわち圧力と体積は反比例することがわかる。

第1図
ところが,気体の密度が大きくなると,気体分子の大きさや分子同士の相互作用が無視できなくなるので,ボイルの法則は成り立たなくなる。密度が小さく,ボイルの法則が成り立つ気体のことを理想気体という。
(2) シャルルの法則
十分希薄な気体(理想気体)の熱膨張の割合は気体の種類によらず一定である。すなわち,圧力が一定のとき,一定質量の理想気体の体積Vは,温度が1度上がるごとに,0 ℃のときの体積V0の1/273ずつ増加する。つまり摂氏温度θのときの体積は,
V=V0(1+θ/273) (2)
となる。グラフに表すと図2のようになる。これをシャルルの法則という。気体の温度が上がると,第3図に示したように,気体の分子の速度が大きくなるため,圧力一定のときは体積が増加することが分かる。理想気体の場合,固体や液体とは違って分子間の相互作用が無視できるので,増加の割合は分子の速度だけで決まり,分子の種類などには依らないことになる。

第2図

第3図
(3) 絶対温度
摂氏温度の0度というのは,氷という特定の物質の融点を基に定められたものである。したがってこの「0」という値には絶対的な意味はない。そこで,図2のグラフを延長して,V=0となるところが0度となるように目盛りを付け直す。このように定めた温度を絶対温度といい,このときの0度を絶対零度という。単位はK(ケルビン)である。絶対温度Tと摂氏温度θの関係は,
T =θ +273 (3)
だから,(2)式(シャルルの法則)をTを用いて表すと,
V=(T/T0)V0 (4)
と簡単になる。ここでT0 =273 K(=0 ℃)である。すなわち,気体の体積は絶対温度に比例することになる。また,絶対温度は気体分子の運動エネルギーに比例する(したがって絶対零度より低い温度は存在しない)ことから,科学でよく使われる尺度となっている。
・パイプの内径をノギスで測る。
後で気体の体積を計算するのに使う。・パイプの下端を流動パラフィンの中に入れ,流動パラフィンを12-13 cmの高さまで満たす。
・パイプの上端をパラフィルムで密封する。
パラフィルムは少し延ばしてからかぶせるようにすると良い。
この密封された空気の熱膨張を測定する。・パラフィルムがずれないようにビニールテープを巻く。
・パイプを引き上げ,パイプの外側の流動パラフィンをキムワイプで拭き取る。
もし中の流動パラフィンが流れ落ちるようだったら,封をやり直す。・パイプと熱電対をものさしにビニールテープで固定する。このときパイプの上端がものさしの「0」の位置になるように,また流動パラフィンの位置が読みやすいようにする。

第4図
・水槽に深さ7 cm(水槽の目盛り10)ほど水を入れる。さらに氷を入れてよくかき混ぜる。
・台を水の中に沈め,この上にものさしを乗せ流動パラフィン方が低くなるようにする。
・温度計の電源を入れ,温度と気柱の長さを測る。
・コントローラーのスイッチを入れ,およそ5℃毎に60 ℃まで温度と気柱の長さを測る。
温度設定は最高にしておいて良い。
気柱の長さを読みとるとき波がじゃまだったら,一時的にスイッチを切る。
気泡がついて見にくくなったら,メスピペットで吹き飛ばす。・測定が終わったら,コントローラーのスイッチを切る。
・お湯が冷めたら,もとの状態に片づける。
第5図
・パイプの内径から断面積を求める。
・各温度での気柱の長さと断面積から体積を計算する。
・体積の温度変化のグラフ(手書きおよびパソコン)を書く。
・下記の2通りの方法で絶対零度を求める。
◆絶対零度の求め方1
・横軸の原点を0℃にしてグラフ1を書く。
・このグラフ1(V=aθ+b)から傾きa(1℃当たりの体積変化)および切片b(0℃における体積)を読み取る。
・V=0としたときのq を計算する。
(グラフ1)
◆絶対零度の求め方2
・パソコンの電源を入れ,デスクトップに現れる「charles.dat」のアイコンをダブルクリックして開く。
・表が現れるので,温度と体積および自分の氏名,番号を打ち込む。
・自動的にグラフ2が描かれるので,「ファイル」→「印刷」を選択し,さらに「印刷」をクリックする。
・パソコンで書かせたグラフから体積0となるときの温度を読み取る。
(グラフ2)
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