2011年6月22日
神奈川歯科大学大学院口腔病理学講座・唾液腺健康医学研究室
「唾液検査で前立腺癌を発見」
~第10回バイオテクノロジー国際会議バイオアカデミックフォーラムで発表~
神奈川歯科大学大学院口腔病理学講座・唾液腺健康医学研究室(所在地:神奈川県横須賀市)の槻木 恵一のグループは、唾液を分析して前立腺癌を発見できることをBiomarkers(in press)に発表しました。これは、いわき市立総合磐木共立病院泌尿器科との共同研究で、被災地福島県いわき市の皆様のご協力により行われたものです。なお、この成果は、6月30日開催の、第10回バイオテクノロジー国際会議バイオアカデミックフォーラムにて発表されました。
近年、唾液を用いた検査に注目が集まっています。これは唾液であれば簡便に集めることができ、「痛くない・怖くない・長くない」医療を実現し、癌を早く見つけられるかもしれないからです。これまで本研究室では、唾液検査の実用化に向けて研究に取り組んできました。
これまでも唾液で癌を発見する研究はありました。しかし、新しいマーカーを見つけることに重点がおかれているため、その実用化には、相当時間がかかりそうです。そこで、当研究室では、唾液は血液から作られ、血液成分を反映する点に注目しました。この現象により、既に広く使われている血液で検査してきた腫瘍マーカーも唾液を用いて検査すればよいことになります。しかし、その腫瘍マーカーが唾液腺自体ではほとんど作られていないことや唾液中に漏れ出てくる性状などの条件が必要です。
上記の条件を満たす腫瘍マーカーとしてPSA(*)が有力であったことから、今回 前立腺癌を対象としました。前立腺癌は男性の癌であり米国では罹患数は1位で、日本においても確実に増加しています。解析の方法は、前立腺癌術後の患者(31名)にご協力いただきました。これらの患者の血液と唾液中のPSAの相関を調べたところ、PSAは血中濃度が上がると唾液PSA濃度も上がる傾向があることがわかりました。特に、癌の再発を示唆する2.5ng/mL以上の患者(11名)では強い相関を示しました。
この研究の最も大切な成果は、既に広く使われている腫瘍マーカーが、唾液検査に応用できることが分かったことです。これにより、直ぐに役立つ唾液検査を世に贈ることができるかもしれません。また、癌以外でも、唾液検査の条件を満たせば、充分応用可能であるため波及効果も期待されます。この唾液検査の条件を示したところも新しい内容です。今後実用化に向けた検討を行っていきます。 |