2004年度版
板を伝わる熱を考えよう。板の両面の温度差が大きいほど、また面積が広いほど伝わる熱は大きい。逆に板が厚いと熱は伝わりにくい。また板の材質によっても異なってくる。そこで、板の材質の熱伝導率をkとし、断面積をS、 厚さをL、両面の温度をそれぞれT1, T2とすると、時間tの間にこの板を伝わる熱量QはS,(T1-T2)とtに比例し,Lに反比例するから,
Q=kSt(T1-T2)/L
となる。熱伝導率の単位はW/m・Kである。(注:W=J/s)
【例題4-3】
外気温12℃、室温23℃のとき、幅1.8m、高さ90cm、厚さ2.0mmのガラス窓を1.0秒間に伝わる熱量はいくらか。ただし、ガラスの熱伝導率を0.55W/m((I%Kとする。

○計算によって正確に求める方法はこちらをご覧下さい。
◆熱放射 図
宇宙は真空であるが、太陽の熱は地球に届く。これは熱が赤外線などの電磁波によって伝わるからである。このように電磁波で熱が放出、伝達されることを放射という。太陽ばかりでなく、あらゆる物体は表面から熱を放射しており、その波長は物体の温度によって異なる。物体の温度が高いほど波長は短くなる。すべての物が熱を放射しているのに、必ずしも物体の温度が下がらないのは、同時に吸収もしているからである。周囲の温度が低ければ吸収が放射より小さくなって温度が下がるが、周囲の方が温度が高ければ吸収が放射より大きくなって温度は高くなる。
○放射の式
単位面積当たりの放射量は絶対温度の4乗に比例していることが知られている。ただし、物体の色など表面の状態により放射の効率は異なる。
すなわち絶対温度T、表面積S、放射効率eの物体が時間tに放射する熱Qは、
Q=eσST4t
である。ここで、σはシュテファン・ボルツマン定数と呼ばれる定数で、5.67×10-8W/m2・K4である。
周囲の温度が同じであったら、吸収する熱は放射する熱に等しい。つまり外部の絶対温度をT'とすると、吸収する熱Q'は
Q'=eσST' 4t
となる。実質的に吸収あるいは放出する熱はQとQ'の差ということになる。

外気温12℃のとき、幅1.8m、高さ90cm、23℃の壁から実質的に放射される熱は1秒間でどのくらいか。ただし、シュテファン・ボルツマン定数を5.67×10-8 W/m2((I%K4、壁の放射効率を1.0とする。
直径18cm、高さ11cmの鍋を100℃に熱して網の上に置いた。室温を15℃とすると、放射によって実質的に放出する熱は1秒間でどのくらいか。ただし、放射効率を1.0とする。
熱放射を測定することにより皮膚などの表面温度を知ることができ、乳癌の診察などに利用される。
(例えば「発掘!あるある大事典 第160回『冷え性』」とういうサイトなどでも使われています。
また「サーモグラフィーで見るもののあたたまりかた」というものもあります。よろしかったらご覧ください)
鍋に水を入れて下から加熱すると、底部の水は膨張して密度が小さくなり、冷たい水に上へ押し上げられる。底部にはその冷たい水が入り込む。このように物体が循環する現象を対流という。水や空気は熱伝導率は小さいが対流によって熱をよく伝える。
【例題4-6】
試験管の水の中に氷を浮かべ,下部の水をアルコールランプで暖めるとどうなるか。
また、試験管の水の中に釘を埋めた氷を沈め,上部の水をアルコールランプで暖めるとどうなるか。
【例題4-7】
あるテロリストがスペース・シャトルに放火しようとして,書類箱の中に無重力になると着火するライターをしかけたが,ライターのまわりが少し焦げただけで火災にならなかった。これはなぜだろうか。
○熱の伝わり方
1.伝導 2.放射 3.対流
○熱伝導
Q=kSt(T1-T2)/L
○熱放射
Q=σST4t
プリントのダウンロード ・・・講義で配布したもののpdfファイルです。