2004年度版

3.熱容量と比熱

◆熱容量と比熱
   
水とコンクリートとどちらが暖めやすい?
◆潜熱
   
熱を加えても温度が変わらないことがある。
◆気体の比熱
   
暖め方で比熱が変わる

物理講義一覧へ


◆熱容量と比熱

◎熱容量(heat capacity)
 物体に熱を加えて温度を上げる場合、上がり方は物によって異なる。温度変化のしにくさを表すのが熱容量である。すなわち、ある物体に熱量を加えたとき温度がΔ変化したとすると,この物体の熱容量は,  

  

で表される。単位はJ/Kである。

図(熱容量)

◎比熱(specific heat)
 熱容量は物体の量によって変わるので、例えば銅とアルミニウムのどちらが暖まりやすいか比較するときには不都合である。このようなときは単位質量当たりの熱容量、すなわち比熱を用いる。ある物体の熱容量を,質量をとすると,この物質の比熱は,

  

と表される。単位はJ/g・Kである。

表(種々の物質の比熱)


【例題3-1】

次の文の空欄を埋めよ。
・同じだけ温度を上げるとき,熱容量が大きいほど必要な熱量は(   )。
・同じだけ熱量を与えたとき,熱容量が大きいほど温度変化は(   )。
・同じ材質でも質量が大きいと(   )は大きくなるが,(   )は変わらない。

解答


【例題3-2】

日本酒の比熱を3.9 J/g?Kとすると,

(1) 日本酒150gの熱容量はいくらになるか.

(2) 日本酒150gを10℃から50℃まで暖めるのに必要な熱量はいくらか。

 解答


【例題3-3】

100℃、20gのピンセットを10℃、80gの水に入れると温度はいくらになるか。ただし、ピンセットの比熱を0.46 J/g・K、水の比熱を4.2 J/g・Kとする。

 解答


【例題3-3b】−簡単な温泉玉子の作り方−

カップ麺の容器に90℃のお湯と10℃、68gの玉子を入れ、全体が75℃になるようにして温泉玉子を作りたい。お湯の量をどの位にしたら良いか。ただし、玉子の比熱を4.2J/g・Kとする。
  参考:玉子の白身は58℃以上で固まり始め、80℃以上でしっかり固まる。
     黄身は時間をかければ65〜70℃でも固まる。

  

解答

もどる


◆潜熱(latent heat)

◎物質の三態(three phases of matter)

・固体(solid):原子や分子間の力により原子・分子は規則正しく配列し、つり合いの位置を中心に振動している。

・液体(liquid):分子は分子間の力にうちかって、互いに接触しながら運動する。

・気体(gas):分子間の力はほとんどなく、分子は容器内を自由に動き回っている。

図(3態)

◎潜熱(latent heat)

 物質に熱を加えた場合、固体から液体に、あるいは液体から気体に変化しているときは温度が一定に保たれる。これは熱が温度上昇ではなく、状態変化のために使われるからである。物質が固体から液体に変わるとき、単位質量の物質が外部から吸収する熱量を融解熱(heat of fusion)といい、液体から気体に変わるとき、単位質量の物質が外部から吸収する熱量を蒸発熱(気化熱,heat of vaporization)という。また、気体から液体に変わるときは蒸発のときと等しい熱を、液体が固体に変わるときは融解と等しい熱を放出する。このような状態変化の際に吸収・放出される熱量を潜熱という。

水に与える熱量と温度の関係
 

表(種々の物質の融解熱と気化熱)

【例題3-4】

 90℃のコーヒー150gに氷を入れて0℃にしたい。どれくらいの氷が必要か。ただし、氷の温度を0℃、融解熱を334 J/g、コーヒーの比熱を4.2 J/g・Kとする。

解答

もどる


◆気体の比熱
 気体に熱を与えたときの温度の上がり方は、圧力を一定にするか、体積を一定にするかで異なる。つまり条件によって比熱が違ってくる。圧力を一定にしたときの比熱を定圧比熱cp、体積を一定にしたときの比熱を定積比熱cVという。この違いは気体が膨張するときに仕事をするために生じるもので、熱と仕事の関係を知る上でも重要なものである。

表(種々の気体の比熱)


【例題3-5】
東京ドームの容積は1.24×106m3である。この中の空気を圧力一定のまま10.0℃から20.0℃に暖めるのに必要な熱量はいくらか。ただし空気の密度を1.24×10-3g/cm3, 定圧比熱cpを1.006J/g・Kとする。

解答


【例題3-6】
東京ドームの容積は1.24×106m3である。この中の空気を体積一定のまま10.0℃から20.0℃に暖めるのに必要な熱量はいくらか。ただし空気の密度を1.24×10-3g/cm3, 定積比熱cVを0.717J/g・Kとする。

解答


 体積一定と圧力一定の下で気体を暖めるのに必要な熱量に差があるのは、圧力一定のときは熱の一部が体積を膨張させる仕事に変わるからである。たとえば東京ドームを10℃から20℃まで暖めるとき、定圧と定積の差は、例題3-4、例題3-5より、
  1.55×1010 J−1.10×1010 J=4.5×109
となり、例題2-3で求めた空気のする仕事の大きさと一致する。
 

 

もどる


◆まとめ

○熱容量
物体に熱量Qを与えたとき温度がΔT変化したとすると、この物体の熱容量は、

   

○比熱
物体の熱容量をC、質量をとすると、この物体の比熱cは、

   

○潜熱
    状態変化の際に吸収・放出される熱

  


演習問題(3)

プリントのダウンロード ・・・講義で配布したもののpdfファイルです。  

物理講義一覧へ